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神奈川県の子育て情報がLINEに一元化ー神奈川県の取組事例



はじめに


 全国の地方自治体では、少子高齢化や人口減少の社会課題解決のための施策として、子育て支援に注力しています。子育て世代は、若い頃からスマホや携帯電話、PCに慣れ親しんでいる世代となっているため、高齢者世代に比べ自治体DXの施策は効果を発揮させていきやすいと言われています。今回紹介する神奈川県の事例は、県内在住者向けの子育て支援情報を「かながわ子育てパーソナルサポート」というLINEサービスで実装が開始された件を取り上げていきたいと思います。

 

神奈川県の子育て情報がLINEに一元化ー神奈川県の取組事例


 神奈川県は、比較的暖かい気候に恵まれた地域で、西部には箱根、丹沢の山々があり、南部には相模湾などの海に面しており、多様な風景があります。東京都内にも交通の便もいいことから、地域産業も盛んです。都道府県別人口では、東京都に次ぐ全国第2位、人口密度は東京都、大阪府に次ぐ第3位となります。横浜港は国際貿易港として全国3位の貿易額で、京浜工業地帯もあります。観光地としては、箱根や鎌倉、湘南海岸もあります。


 今回、ジャーナルで取り上げている「かながわ子育てパーソナルサポート」は、福祉子どもみらい局子どもみらい部次世代育成課が担当しています。この施策は、令和5年(2023年)12月25日からサービス開始されているが、以前は「かながわ子育て応援パスポートアプリ」として運営されていました。「かながわ子育てパーソナルサポート」は、LINEで一元化されているのですが、LINEで開設した背景として、令和2年(2020年)に設けたLINE公式アカウント「新型コロナ対策パーソナルサポート」の実績があり、医療機関の情報やワクチン接種情報、感染者数などの情報を一元化させたところ、160万人が登録した事例があげられています。子育て支援関連情報は、これまで行政機関や部署で分散されてしまっていたことから、黒岩県知事が令和5年(2023年)4月知事選で公約にアカウント開設を掲げていました。


 「かながわ子育てパーソナルサポート」の機能としては、大きく4点あります。

① 子育て支援情報を、住所や子供の年齢など、登録内容に合わせた行政支援情報や地域のイベント等の情報がダイレクトに届くようになっています。

② 子育て支援の情報として、幼稚園や保育園の検索、子育て世帯優遇店舗の検索、子ども食堂の検索などを手軽に行うことができます。

③ 子育て関連の相談として、「子ども・家庭110番」など、各種相談がLINEで行うことができます。

④ 「かながわ子育て応援パスポート」の取得をすることができます。協力施設での割引優遇等も受けることができます。


 このアプリの強みとしては、子どもの成長に合わせてプッシュ型でタイムリーに情報を届けることができる点が挙げられます。共働き世帯が増えており、仕事や子育てで忙しい中で、情報収集に充てられる時間が少ない中で、プッシュ型で情報が届けられることで予防接種等の重要な情報をダイレクトに届けることができるのは、住民サービスの向上へつながっています。


 神奈川県議会令和5年(2023年)第3回定例会11月29日で、黒岩知事が「新たな実施計画では三つの神奈川の将来像の実現に向けて、進歩の著しいデジタルの力を積極的に活用してまいります。例えば、一つ目の将来像、誰もが安心してくらせるやさしい神奈川の実現に向けては、子育てパーソナルサポートにより、子育て支援情報を必要とする方に必要なタイミングにプッシュ型でお届けするなど、県民の皆様の不安の解消に取り組んでいきます。」と述べられており、デジタルの力を活用した子育て施策の重要な取組として認識されていることが分かります。

 


まとめ


 地方自治体の情報発信は、これまで広報誌やHPなどの住民側からアクセスしなければ情報を獲得できない配信方法が取られていた傾向がありました。しかし、今回の事例のように自治体から住民に向けてプッシュ型で情報発信をすることができると、情報をこれまで獲得できていなかった住民に向けても配信をしていける幅が広がると考えられます。機能面での拡充は図られましたが、その前段として公式LINEアカウントはダウンロードしてもらう必要があり、アプリダウンロードに向けたプロモーションは大きな課題となっています。今後も神奈川県の子育て支援のデジタル活用の取組は注目して、アプリの利用状況や実施後の課題などは追いかけていきたいと考えています。


 このような自治体のトレンドを見逃さないよう、グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用した調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 平峯 佑志 Yushi Hiramine

スポーツ&ヘルスケア関連の事業会社を創業メンバーとして起業、新規事業立ち上げ/経営企画/WEBマーケティング/法人営業・自治体営業/知的財産管理等の業務に従事。スポーツ専門研究機関のシンクタンクでのPM業務を経てグローカルにジョイン。

グローカルに参画後は、健康管理システムのソリューション営業の型化/営業支援体制の構築支援、自治体向けの情報プラットフォームの営業支援/PM業務、公募調査ツール「G-Finder」の企画開発業務に従事




出典:

神奈川県HP:「LINE公式アカウント「かながわ子育てパーソナルサポート」」

神奈川県議会議事録:「神奈川県議会令和5年第三回定例会11月29日」

かながわ子育て応援パスポート:「かながわ子育て応援パスポートアプリの提供終了と新サービスのご案内について」

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